【2016年公開作品】映画「シン・ゴジラ」を観た感想【ブログ】

劇場版『シン・ゴジラ』はエヴァンゲリオンで有名な庵野秀明が脚本・演出・総監督を務めたゴジラシリーズ第29作目の作品。※公開日は2016年7月29日

監督・特技監督はガイナックス設立当初から親交がある樋口真嗣(平成ガメラシリーズ「大怪獣空中決戦」の特技監督)

シン・ゴジラの興行収入は約82億円、観客動員数は累計550万人以上とどちらもゴジラ作品の最高記録を更新。惜しくも2016年の興行収入ランキング(邦画部門)では新海誠 監督の映画「君の名は。」に負けて第2位でしたが、それでも素晴らしい記録です。

そんな大ヒットした「シン・ゴジラ」のDVDやブルーレイが、2017年3月22日(木)にようやく発売されました。

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本作のテーマとして【日本対ゴジラ】がキャッチコピーにもなっていますが、この映画は2011年に起きた東日本大震災や原発事故が原点となっているのは間違いないです。

これまでネタバレを回避するため、インターネット上のシンゴジラ関連の情報には極力触れないようにしていたため、ほぼ初見の状態でこの映画を観ることができましたが、今回はそんな「シン・ゴジラ」を観た感想や考察など、色々とまとめながらブログに書いていきたいと思います。

劇場版『シン・ゴジラ』作品概要

■劇場版『シン・ゴジラ』は東宝株式会社単独出資により製作された空想特撮映画

従来のファミリー層、子ども向け路線から一転し、政治色を前面に刻一刻と進行する危機的な大規模災害事象に対して、日本国政府を中心にさまざまな国家機関に携わる者たちが限られた条件下で切歯扼腕しつつ各々の任を全うし、政治的配慮・思惑が錯綜する最中にて問題解決の糸口を模索しながら収斂するという、群像劇が描かれる。

台詞の大半は各分野で用いられる慣例上の職務口調を含む大量の専門用語が作中を飛び交うほか、頻繁な明朝体テロップの挿入による場面説明が逐一行われる。

登場人物の背景や感情が絡む人間模様、ゴジラに対抗し得る超常の存在や科学兵器といった部分は大幅省略されたことに加え、暴力や死の直接描写が排されているため、全年齢で観劇可能な作品となっている。

Wikiより引用

東京湾羽田沖に突如として出現した巨大生物

物語の導入は東京湾アクアライントンネルが巨大な轟音とともに崩落する原因不明の謎の事故から始まる。

この事故を受けて首相官邸では総理大臣以下、閣僚幹部が招集され緊急会議を開催。

事故当初は海底火山の噴火地震の影響による局地的な崩落が原因と、ある意味楽観視されていたが、今作の主人公でもある内閣官房副長官の矢口蘭堂(俳優 長谷川博己)は、ネット上の動画や目撃報告から海中に棲む巨大生物の可能性に早くから気付いていた。

緊急会議ではそんな荒唐無稽(巨大生物)な話は非現実的でありえないと一笑されるも、直後に報道されたニュースで状況は一変、首相含め閣僚達は、それが実際に起きている現実なのだとようやく理解する。

(「海面から超巨大な尻尾を確認」とニューステロップに表示されるのだが、巨大生物の正体がまだ判明していないのに何故尻尾と分かったのか?)

東京湾 多摩川河口から巨大不明生物が東京に上陸

作品の序盤では謎の巨大生物が河口から東京都内に上陸と、現在進行形で進んでいる危機的状況(街の破壊や津波)に対して、会議室で行われる実感を伴わない対策会議の温度差。

各省庁の責任を取りたくない総理大臣、閣僚達の姿勢など皮肉交じりでシーンが描かれている。

その後、大田区内の呑川から遡上し、ついに陸地に上がった巨大生物。

【感想】上陸した巨大生物は予想外の姿

シン・ゴジラの姿はテレビCMや予告映像で見ていたので知っていましたが、初めて第二形態の姿を見たときは驚きました。

■エラのある二足歩行・魚類顔のシンゴジラ

巨大不明生物が上陸するまでは、全体の姿は描写せずに特徴的な背ビレや尻尾のシーンのみ。

いざ上陸した姿を見てみると予告で見たシンゴジラの格好と違いますから、最初は「核物質で突然変異した水棲生物が登場→自衛隊による討伐。その後、一般市民が安心したところで新たに本物のシン・ゴジラが登場するのではないか?」と映画を観ている最中に考察していたのですが、まさかああなるとは……

すでに劇場版「シン・ゴジラ」を視聴済みでネタバレ前提で書きますが、シンゴジラには第1~第4形態まであり

蒲田に上陸した姿は第2形態だと言われています。(あれ?第1形態は!?)

これまでベビーゴジラ→リトルゴジラ→ゴジラジュニア(ゴジラVSデストロイアで親ゴジの放射能を吸収して誕生したゴジラ)やバーニングゴジラなど、見た目が変わる作品がいくつかありますが、劇中で進化するゴジラは初めてではないでしょうか?

■自衛隊の火器攻撃を許可する政府だが……

巨大不明生物の上陸により避難する人々。

3時間もあれば東京首都圏を縦断し、このままでは被害がさらに拡大する恐れがあり、政府は害獣駆除を目的とした出動を自衛隊に要請する。

武力行使命令が発令された自衛隊は、木更津駐屯地から陸上自衛隊所属の対戦車回転翼航空機「AH-1S」を出撃、同基地所属の東部方面航空隊、第4対戦車ヘリコプター隊、第2飛行隊の4機がその任務にあたる。

北品川付近にまで進行した謎の巨大生物は突如として完全直立2足歩行(第2形態→第3形態)に進化。そこに自衛隊の攻撃ヘリが到着するが、別の偵察機がその付近に逃げ遅れた住人の姿を確認したため、総理が攻撃の中止を命令、攻撃せずに一時撤退となってしまった。

このままでは巨大生物の進行が止められず被害が拡大する一方のように思われたが、何故か巨大生物は歩みを止め転進、東京湾へと姿を消してゆく。

■シンゴジラと言う名の激甚災害

映画内では殆ど描写されていないが、巨大生物の上陸から2時間強で死者・行方不明の人数は100名以上、シンゴジラが上陸した東京都大田区は甚大な被害を受けた。

巨大生物の通り過ぎた後は瓦礫が散乱し、まさに巨大地震や台風、洪水などの災害が起きたような有り様である。

■災害現場で矢口蘭堂が一人で手を合わせるシーン

災害現場を視察にきた他の大臣や政府関係者が去る中、主役の矢口蘭堂が一人で手を合わせて黙祷するシーンは、2011年に起きた東日本大震災に対する庵野監督の哀悼の意が込められているように私は感じました。

シン・ゴジラ「第二の襲来」

巨大生物の再度襲来に備え各部署の問題児たちを集めた「巨大不明生物特設災害対策本部」通称 巨災対が設置される。

同時にアメリカの大統領特使、カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が矢口に接触、巨大不明生物の名称がゴジラ(呉爾羅)に決まる。

前回のゴジラ上陸被害から約4日後、前回の倍近い体長(118.5m)に進化したゴジラ(第4形態)が歴代ゴジラシリーズのBGMと共に鎌倉に再上陸する。

自衛隊ではオペレーションB-2として多摩川河川敷周辺を絶対防衛ラインする「ダバ作戦」を展開、ゴジラの都内侵入を阻止する為の総攻撃を開始。

陸上自衛隊の戦闘回転翼航空機AH-64Dや10式戦車、99式自走155m榴弾砲などで攻撃するが殆ど効果なし。航空自衛隊所属F-2戦闘機の誘導弾でたいしてゴジラにダメージを与えることができなかった。

アメリカの軍事介入

ダバ作戦が失敗、自衛隊の攻撃だけではゴジラを仕留められないと判断したアメリカは、グアムにある米空軍基地から戦略爆撃機B-2を出撃させる。

B-2爆撃機の投下した地中貫通型爆弾「MOPⅡ」がゴジラの皮膚を貫通。初めてまともなダメージを与えるが、直後に背ビレを紫に発光させ超強力なビーム型の熱線を吐いてB-2爆撃機を撃墜。

総理大臣や閣僚達を乗せたヘリもその攻撃(通称 内閣総辞職ビーム)にやられ、殆どの政治家が殉職する。

東京を火の海に変えたゴジラの姿(特撮好きな監督なだけに首元の発光デザインはウルトラマンをイメージ?)

シン・ゴジラは最強のゴジラか?

熱線を吐いた当初は火炎放射器のごとく通常の炎だったのですが、それを徐々に収束させビーム兵器のような光線を吐くゴジラ。

その様子は「火の7日間」で世界を焼き払ったと言われる巨神兵のビームに似ています。

(庵野監督は風の谷のナウシカで巨神兵の原画を担当していたので、どうしてもイメージしてしまう。また監督つながりでエヴァンゲリオンに登場するラミエルを思い浮かべる人もいるでしょう。)

歴代のゴジラシリーズでは1996年に公開された「ゴジラVSデストロイア」に登場する、体内の核分裂が制御できずにメルトダウン状態に陥ってしまったバーニングゴジラの熱線攻撃が最強とされていますが

今作「シン・ゴジラ」の攻撃は光線を収束させたその一点突破の破壊力や、遠距離にまで届く持続性などを考えると、ゴジラシリーズ最強の威力を誇るのではないかと思われます。

最後の希望「ヤシオリ作戦」

もはや生物の域を超えた「ゴジラ」、自衛隊の総攻撃も失敗、アメリカの戦略爆撃機でも殲滅できなかったゴジラに対して、世界は国連安全保障理事会を通して熱核兵器(叡智の炎)の使用を提言・行使することを決める。

東京に3度目の核が落とされるまであと2週間……。

沈黙を守るゴジラ

広範囲を破壊しエネルギーを放出しきったゴジラはその活動を停止、現在沈黙中である。

日本政府の要請もあり国連安保理の決議でゴジラ殲滅のための多国籍軍が結成される。

限られた時間の中で日本に残された選択肢は「弾道ミサイルによる核攻撃」か「ゴジラ凍結プラン」しか残されていなかった。

■ゴジラ凍結プランとは?

巨災対は、ゴジラは体内の原子炉状の器官から活動エネルギーを得ており、そこから生じる熱は血液循環によって発散しているため、血液循環を阻害すればゴジラは生命維持のため自らスクラム停止・急激な冷却を行い、活動停止するはずであると結論づけ、血液凝固剤の経口投与によってゴジラを凍結させる仮称「矢口プラン」の準備を始める。

Wikiより引用

巨大不明生物の活動凍結を目標とする血液凝固剤経口投与を主軸とした作戦要綱(ヤシオリ作戦)

凍結プラン成功の見通しが立ったことでゴジラ対策特命担当大臣に任命された矢口蘭堂は、ゴジラに血液凝固剤を投与する「ヤシオリ作戦」の実行に向かう。

(自衛隊幹部とのミーティング時に財前統合幕僚長が矢口に言った「礼は要りません。仕事ですから」の台詞が印象的。)

■ヤシオリ作戦の内容(米軍との共同戦線)

①作戦第一段階として爆弾を搭載した新幹線(N700系・無人運転)を激突させ、休眠中のゴジラを強制的に目覚めさせる。

②次にゴジラの光線エネルギーを消耗させるため、米国空軍の無人戦闘航空機部隊による波状攻撃を仕掛ける。(撃墜された無人戦闘機の費用は日本持ち)

③光線エネルギーの枯渇を確認したところで周囲の高層ビル群を連続爆破・倒壊させゴジラを強制的に転倒させる。イージス駆逐艦の巡航ミサイルも使用しゴジラの動きを封じる。

④作戦の最終段階として自衛隊の特殊建機小隊が転倒したゴジラまで近づき、民間のコンクリートポンプ車(特殊車両)を利用して血液凝固剤をゴジラの口から強制投与する。

(このコンクリートポンプ車を使用したヤシオリ作戦は、3.11の時に事故を起こした東京電力福島第一原発の燃料プールに注水していた件を思い出します。)

しかし特殊建機第1小隊は凝固剤を30%投与したところでゴジラの光線にやられて全滅。自衛隊は動き出したゴジラに対して無人在来線爆弾を投入、再び転倒させ凝固剤投与作戦を継続する。

自衛隊の決死の活動もありゴジラへの血液凝固剤の投与量が目標の100%を突破。

作戦が成功したかと思った瞬間「やったか!?」のフラグと共にゴジラが起き上がるも凝固剤の効果によりゴジラの体内が-196℃の状態になり完全凍結が完了。

ゴジラの活動停止と共にヤシオリ作戦が終了、日本対ゴジラの戦いに終止符がうたれる。

【ブログ】映画「シン・ゴジラ」を観た感想 まとめ

最近は頭を使わなくても観られるような娯楽(エンターテイメント)に主軸を置いた映画が多いなかで、今回の「シン・ゴジラ」は久しぶりに色々と考察しながら映画を鑑賞することになりました。

映画の最後のシーンにしても、凍結したゴジラの尻尾から人体のような異形な形(第五形態と言われている)が登場するなど、映画を観ている側に想像(考察)する余地を与える意味深な終わり方になっています。

個人的な意見としては庵野監督がゴジラを撮影するなら特撮オタク向けの面白い作品を撮って欲しかったですが、東日本大震災や原発事故という経験があり、庵野さん自身がそれを消化して、作品として表現したかった(残したかった)気持ちが何となく分かります。

もう庵野監督自身はゴジラ作品の製作には関わらないと明言しているので、ゴジラの脚本を書くことは2度とないかもしれませんが、もしまた特撮映画を撮影するなら娯楽作品としてシン・ゴジラの続編ではなく、また違ったタイプのゴジラ映画を製作して欲しいですね。

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