鉄道乗客大幅減などが響き「西武HD」の最終赤字は630億円に転落。年間配当は30円→0円の無配に決定
■西武、今期の最終赤字630億円 資本増強や資産売却検討(日経新聞)
西武ホールディングス(HD)は24日、2021年3月期の連結最終損益が630億円の赤字(前期は46億円の黒字)になりそうだと発表した。過去最大の赤字で無配に転落する。新型コロナウイルスの流行でホテルや鉄道の利用客が減少。影響が長期にわたる見通しのため、資本調達や資産売却を検討する。
売上高は前期比40%減の3320億円とみている。とりわけホテル・レジャー事業は回復が鈍く、6割減収になる。同事業の営業損益は552億円の赤字(前期は85億円の黒字)の見通しだ。
西武HDは来期以降も需要が完全に回復することはないと想定している。同日の記者会見で高橋薫取締役は「聖域なく、踏み込んだ経営改革に取り組んでいく」と強調した。今期は固定費を当初計画に対して620億円、設備投資を同360億円それぞれ削減する。
賃貸ビルやホテルなどは採算性を見直し、一部は売却を検討する。設備投資は鉄道などの安全設備を優先し、極力抑制する。取締役報酬の減額を継続し、新卒採用計画を見直す。終電時間の繰り上げなどダイヤ改正も視野に入れる。
財務改善のため、株式を希薄化しない資本性資金の調達も検討している。金融機関と交渉して一部借入金の財務制限条項を「純資産2800億円以上」に引き下げたものの、赤字決算によって今期末の純資産は3010億円に減る見通し。資本増強の必要性が増している。
資金繰りをめぐっては、5月に金融機関からのコミットメントライン(融資枠)の総額を600億円から1500億円に拡大したほか、4~6月に日本政策投資銀行やメガバンクから計1310億円を調達した。今月も新たに250億円を借り入れる。「仮に来夏まで需要の激減が続いても耐えられる」(西武HD幹部)という。
西武HDは24日、2020年5月26日に公表した2020年3月期決算短信で未定としていた2021年3月期の連結業績予想を発表。新型コロナウイルス感染拡大による鉄道やホテルの利用者減少で、2021年3月期の連結最終損益は630億円の赤字(前期は46億円の黒字)と予想している。
また、今回の業績予想で年間30円の余剰金からの配当(中間+期末)は無配になることが議決決定された。
年630億円の赤字+無配転落で西武HDの株価は10%以上下落
業績予想発表翌日、9月25日の西武HDの株価は1,278円→1,142円と前日比-136円で10%以上の下落。始値1,177円、高値1,183円、安値1,130円、終値1,142円という結果になった。
4月7日の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言以降、高速道路の交通量は激減し、ゴールデンウィークの日平均交通量は前年比71%減の1万4600台、お盆は同33%減の3万2000台だった。
しかし9月の4連休(シルバーウイーク)は外出自粛の反動もあり、お盆を約3割上回る交通量を記録。GoToキャンペーンの効果もあり日本各地の観光地は旅行客で混雑した。
国は10月から全世界を対象としていた入国制限措置を緩和し、留学や長期滞在など海外からの新規入国を順次認める方針を決定しました。